『維新が予算案賛成へ 「うちだけ成果ない」→教育無償化で自公と協議』(朝日)、『党内からも「アホやないか」 維新が補正予算めぐり迷走、組み替え動議提出も政府案に賛成』(産経)。で、また大阪都構想に回帰
特にしたたかとも思えない石破茂首相に完全に手玉に取られている日本維新の会新執行部。
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2024年度補正予算案が12月12日に、衆院を通過しました。
衆院で過半数を持たない自民、公明両党に加え、第2自民党の日本維新の会と第3自民党の国民民主党などが賛成し、衆院本会議で可決されたのです。
12月13日から参院で審議を始めるわけですが、参院は与党が過半数を占めるため、予算案は年内に成立する見通しとなりました。
この今年度補正予算案には国民民主党が12月11日に例の「103万円の壁」突破などの政策合意を経て賛成方針を決定し、与党が少数ながら可決することが確実になっていました。
一方、自民は立憲民主党の主張の一部を採り入れ、1千億円を能登半島の被災地の復旧・復興に充てる補正予算案の修正案を提出することになっていて、その修正案だけは立民も賛成するそうです。
それに引き換え、維新は自民・公明と教育無償化を議論する協議体の設置で合意したことなどを評価したとして補正予算案全部の賛成に回ったのですが、自公維は協議体の設置で合意しただけで高校の教育無償化について何か決まったわけではありません。
しかも国民民主党と違って自公両党との合意文書もなし。
そこで朝日新聞には『維新が予算案賛成へ 「うちだけ成果ない」→教育無償化で自公と協議』という記事を書かれて、維新内部の声として
『「国民民主と立憲が成果を得ているのにうちだけ何もないわけにはいかない」(幹部)との危機感が出ていた。』
と書かれる始末で、いつも維新寄りの産経新聞にはもっと辛らつに『党内からも「アホやないか」 維新が補正予算めぐり迷走、組み替え動議提出も政府案に賛成』という記事の中で
『日本維新の会が迷走している。政府が提出した補正予算案の撤回と組み替え編成を求める動議を国会に提出していたが、12日の衆院本会議では政府案などに賛成した。』
『3党協議に関する合意文書も作成されていないなどとして不満を募らせていた浦野靖人衆院議員が怒りをぶちまけた。
浦野氏「自公との協議で紙に残るものは何もない。口約束で予算案の賛否を決めるほど、わが党は軽いのか」』
と内部事情をばらされています。
そもそも、予算の組み替え動議というのは政府の予算案に対して根本的にNOをつきつけるものですから、維新が組み替え動議を出しておきながら、教育無償化の3党協議について口頭で合意ができただけでいきなり政府の補正予算案に賛成するだなんて全く理屈に合いません。
そもそも予算案に賛成するというのは政府与党に対する全面肯定に等しく、能登半島予算の増額を勝ち取って補正予算には反対した立民のしたたかなやり方が正しい。
これで思い出されるのが、維新の前の執行部であるネコ馬場伸幸代表が今年の通常国会で自公の政治資金規正法などの改正案に修正案を出して丸呑みさせて、それで衆院通過させたこと。
その維新の修正案は政策活動費はやめるどころが存続、しかも10年後!に明細を公開するだけで良くて、しかも明細や領収書は黒塗りでいいという案だったんです。
維新はそれで裏金自民のザル法に手を貸した、いやむしろザル法を作ろうとしているのは維新だと国民にバレて、自民党に裏切られたとか何とか慌てて言いだして取り繕おうとして、自民との口約束を破られたとか何とか言いだして、自分が出した案と全く同じなのに参院の議決では反対に回るという、前代未聞の大醜態をさらしたんです。
日本維新の会が自民党に飲ませた政策活動費10年後公開が「妥当」13%、「妥当ではない」70%(NHK)。焦ったネコ馬場代表が大阪市を解体する「大阪都構想」住民投票を3度目もやると言い出した(アホ!)
日本維新の会が自民党に飲ませた政策活動費10年後公開が「妥当」13%、「妥当ではない」70%(NHK)。焦ったネコ馬場代表が大阪市を解体する「大阪都構想」住民投票を3度目もやると言い出した(アホ!)
日本維新の会が10年後に政策活動費を公開するだけでいいという政治資金改正法修正案を自民党に丸呑みさせたのに、緊急記者会見をして再修正させたのは、TBSの世論調査で70%にNOを突きつけられたからだ
あの時維新の馬場執行部は自民に騙された~、約束を破られた~、二度と自民党のことは信用しない~などと被害者面をしていたのに、また今回も何か成果を出したいからと口約束の教育無償化3党協議合意で妥協するとか、産経新聞が維新の議員の声として
「立憲民主党や国民民主党よりも3つぐらいグレードが低い条件を握らされて賛成に回ってしまった。
アホやないか」
と書いたのも無理ありません。
日本維新の会のネコ馬場伸幸代表が政治とカネについて「政策活動費はすぐにやめないといけません」←通常国会で政策活動費は存続させ10年後に黒塗り領収書を出せばいいという修正案を出しておいてよく言うよ
それで東京新聞には
「万博チケット売れない」さらに「維新は賞味期限切れ」…吉村洋文氏はなぜか今「大阪都構想」を
という記事を書かれて、万博失敗が目の前に迫ったので2回も住民投票で否決された大阪「都」構想を新代表の吉村洋文氏が持ち出してきたとして
『入場券の販売が滞れば、赤字が現実味を帯びる。気になるのが補填(ほてん)の方法。どうするつもりか尋ねたが、担当者は「万博の魅力や楽しさを発信し、一層の機運醸成に努めることが重要」と答えるばかりだった。』
改革という言葉に魅了されてきた有権者にとって、維新の『賞味期限』が切れたということだ」
「政党としての支持を失い、万博の失敗が現実となる危機感から打ち出したのだろう」
「もはや都構想に刷新感がない」
と書かれる始末。
もともと大阪万博だのカジノだの大阪「都」構想だの打ち上げ花火みたいな「政策」しかなかった日本維新の会ですが、いよいよオワコン化も極まれりといったところです。
前の代表のネコババ氏も今のイソジン氏も無能なことにかけては丙丁つけがたい。
日本維新の会が自民党に飲ませた政策活動費10年後公開が「妥当」13%、「妥当ではない」70%(NHK)。焦ったネコ馬場代表が大阪市を解体する「大阪都構想」住民投票を3度目もやると言い出した(アホ!)
参考記事
村野瀬玲奈の秘書課広報室さんより
kojitakenの日記さんより
野田佳彦(野ダメ)、「維新の路線は立民と全く同じになった」との妄言を吐いて、参院選での維新と立民の候補一本化の方針を表明(呆)
編集後記
新型コロナで人口比でも絶対数でも全国最多の死者を出したのが吉村洋文知事の大阪府。
彼の無能さは際立っていて最初から分かっていたことなのですが、取り繕って誤魔化すのだけはうまくて(-_-;)。
それにしても、村野瀬さんも古寺さんも異口同音におっしゃってますが、こんなあからさまに低能で落ち目の維新にまだ執着する野田佳彦立憲民主党代表って何を考えているのでしょうね。
吉村洋文氏が日本維新の会の代表に。新型コロナで全国最多の死者を出した無能の人イソジン吉村氏に、国政政党維新代表・大阪府知事・大阪維新の会代表・大阪万博副会長理事の4刀流は絶対無理だ。
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補正予算案が衆院通過 自民 公明 維新 国民などの賛成多数
2024年12月12日 19時54分 NHK
新たな経済対策の裏付けとなる今年度の補正予算案は、一部が修正された上、衆議院本会議で採決が行われ、自民・公明両党と日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で可決されて参議院に送られました。参議院では与党が過半数を確保していることから、補正予算案は今の国会で成立する見通しとなりました。
目次
一般会計の総額がおよそ13兆9000億円の今年度の補正予算案は、衆議院予算委員会で締めくくりの質疑のあと採決が行われ、自民・公明両党と日本維新の会、国民民主党の賛成多数で可決されました。
委員会では、立憲民主党の求めに応じる形で自民・公明両党が提出した、能登半島の被災地支援を充実させる内容を盛り込んだ修正案も可決されました。
補正予算案はこの修正案を反映させて一部が修正され、衆議院本会議に緊急上程されました。
討論で国民民主党の浅野哲氏は「賛成する第1の理由は、いわゆる『年収103万円の壁』の引き上げとガソリンの暫定税率廃止に向けて与党と一定の合意に至ったからだ。この国を前に進めるのは政権与党だけではない。政策本位の健全な野党がいてこそ、より深く未来を見つめた議論ができる」と強調しました。
これに対し立憲民主党の川内博史氏は反対の立場から、「緊要性のない支出も多数見受けられる。ばらまきは厳に慎み、真に必要な経済対策に支出を限定すべきだ。一方、野党提出の修正案が反映されたことは、与党の事前審査制に代わり『万機公論に決すべし』という熟議と公開の国会への第一歩だ」と訴えました。
そして採決の結果、賛成多数で可決されて参議院に送られました。立憲民主党、れいわ新選組、共産党などは反対しました。
補正予算案には賃上げ環境の整備などを通じた「日本経済・地方経済の成長」に必要な経費に加え、電気・ガス料金の補助再開や住民税非課税世帯への給付金など物価高への対応、それに能登半島の被災地のインフラ復旧に必要な事業などが盛り込まれています。
衆議院の事務局によりますと、政府が国会に提出した予算案が衆議院での審議の過程で修正されて可決されたのは、第1次橋本内閣の平成8年度当初予算以来で、補正予算では初めてになるということです。
補正予算案は13日と16日の2日間、参議院予算委員会で石破総理大臣とすべての閣僚が出席して質疑が行われます。
参議院では与党が過半数を確保していることから、補正予算案は今の国会で成立する見通しです。
《各党代表らのコメント》
石破首相「完璧ではないがそれに近い形」
石破総理大臣は総理大臣官邸で記者団に対し、「完璧ということはないが、かなりそれに近い形を作っていただいたと思う。予算案が衆議院で修正され可決されたのは28年ぶりで、補正予算案としては国会始まって以来となった。与党も野党も初めての体験だったが、審議に参加しても言いっぱなし、聞きっぱなしではなかった。お互いに議論をするという意味での熟議になったと思う。議論ができたことはありがたく、参議院もこうありたいと思っている」と述べました。
公明 斉藤代表「総理の答弁姿勢 野党から評価された」
公明党の斉藤代表は記者団に対し「石破内閣初の予算案が衆議院を通過し、与党としてホッとしている。『熟議と合意形成の国会』がテーマとなっているが、石破総理大臣を先頭に丁寧で自分のことばで答弁していた。こういう姿勢も野党から評価されたのではないか。後半国会は政治改革法案が中心だが、真摯(しんし)な話し合いと合意形成の要となるよう頑張りたい」と述べました。
立民 野田代表「歴史が変わるような国会運営目指す」
立憲民主党の野田代表は記者団に対し「修正を勝ち取ることができたことは、被災地の支援に少しは役に立つのではないか。28年ぶりの予算案の修正なので、これからも歴史が変わるような国会運営を目指していきたい」と述べました。
その上で「予算委員長のポストをとっていた分、野党間の連携は不十分だったが修正を実現できた。これからもっと大きなテーマで野党の連携を目指さなければいけないので、できるだけ協力を求めていきたい」と述べました。
維新 前原共同代表「能登の被災者のための大切な予算」
日本維新の会の前原共同代表は記者会見で「規模ありきで、不要不急かつそぐわないものが数多く含まれていたという考え方は一切変わらないが、これから厳しい冬をさらに迎える中で、能登の被災者が一刻も早く元の生活に戻るための大切な予算だという思いの中で賛成を決めた」と述べました。
国民 古川代表代行「復旧・復興にあたるための予算案」
国民民主党の古川代表代行は記者団に対し「能登半島で被災した人にとっては大変厳しい1年だったが、被災者にしっかり寄り添い、国が責任を持って復旧・復興にあたっていくための予算案が衆議院を通過したことはまずはよかった」と述べました。
その上で「かつてない政治状況の中で、与野党ともに国民生活をよくしていく責任があるので、建設的に議論し、譲れるところは譲り合い、協力するところは協力していく姿勢を示していくことが、われわれ議員の役目だ」と述べました。
共産 田村委員長「過去最大の軍事費 反対の立場貫いた」
共産党の田村委員長は記者団に対し「補正予算案として過去最大の軍事費が組まれたが、本来は緊急を要するものを盛り込むべきだ。結局、日米同盟の強化と、大企業優先という予算案の組み方なので、反対の立場を貫いた」と述べました。
その上で「予算案の問題点が数々明らかになっているにもかかわらず、日本維新の会と国民民主党が賛成し、手を貸したことも非常に重大だ」と指摘しました。
《本会議前の予算委員会の詳細》
石破首相 予算審議のあり方 “事前の情報公開必要”
衆議院予算委員会で立憲民主党は、予算審議のあり方をめぐり野党側にも事前に十分な情報を提示するよう求めたの対し、石破総理大臣は可能なかぎり公開することは必要だとして、政府内で対応を検討する考えを示しました。
予算委員会では12日午前、石破総理大臣らが出席して「内外の諸課題」をテーマに集中審議が行われました。
審議に先立って立憲民主党は11日、今年度の補正予算案の修正案を提出しました。
これについて自民党の小林鷹之元経済安全保障担当大臣は「基金」への拠出を減額するとしたことをめぐり、「政府案の各種基金への計上額は実態を踏まえた資金ニーズを把握し必要な予算を計上したものだ。実際の資金ニーズや政府案の内容を精査した上での修正案なのか」と質問しました。
これに対し修正案を提出した立憲民主党の階猛氏は、「政府の担当者から『相手企業との関係もあるのでエビデンスは出せない』と言われ、客観的な数値を見て判断せざるを得なかった。少数与党になったのだから、与党の力だけで全部情報を独占して予算を組み立てるのはやめるべきだ」と述べました。
立憲民主党の城井崇氏は予算審議のあり方をめぐり、「与党は十分に事前審査の中で内容が確認できるかもしれないが、われわれに出された数字や説明は限られ、チェックのしようがない。熟議と公開のため、野党にも与党並みに事前の情報共有をするよう約束してほしい」と求めました。
これに対し石破総理大臣は「趣旨はよく理解する。審議を十分してもらうには、情報を可能なかぎり野党にも示すことは一般論として必要なことだと思う。充実した議論をしてもらうためにも、情報の公開について、私どもの中でも、よく検討していく」と述べました。
国民民主党の浅野哲氏は「年収103万円の壁」の見直しなどに向けた自民・公明両党と国民民主党の合意について、「政府の責任者として3党合意に基づき実現し実行する意思を持っているか。結果を出すよう党内に指示し、最後まで、結論が出るまで監督してもらいたい」と質問しました。
これに対し、石破総理大臣は「合意が持つ意味は非常に大きい。今後、3党の税制調査会長間でさらに議論が進められるが、合意をよく踏まえ政府として誠実に対応する。必要な情報を提供するなどのサポートは、政府として最大限行っていく」と述べました。
「万博チケット売れない」さらに「維新は賞味期限切れ」…吉村洋文氏はなぜか今「大阪都構想」を
2024年12月11日 06時00分会員限定記事
大阪・関西万博の前売り券の発売から1年がたった。目標数1400万枚に対し、販売数は約740万枚余。企業購入分として割り当てられるのが700万枚で、一般向けが伸び悩んでいるようだ。今月13日で開幕まで4カ月。「どないすんの⁉」と突っ込みたくなる。そんな中で大阪府の吉村洋文知事は「アレ」を持ち出すのだが…。(太田理英子、山田祐一郎)
◆前売り券「大半が企業による購入」が現実
大阪府の府庁舎と大阪・関西万博のマスコット「ミャクミャク」(コラージュ)
「低調」とも報じられる万博前売り券の販売状況。日本国際博覧会協会(万博協会)はどう捉えるのか。東京新聞「こちら特報部」が尋ねると、担当者の口からはあくまで前向きに捉える言葉が出てきた。「オントラックです」。順調に進んでいる状態、という意味だ。
ただ先月30日で発売から1年となったのに、今月4日時点で売れたのは目標の半分程度の約740万枚。担当者は「大半が企業による購入」と認める。
一部報道では、それが何枚だったか、一般向けの販売済み枚数がどうか、関係者情報として伝えられるが、担当者は「内訳は物理的に区別が難しく、公表していない。いずれ推計値を出す」と回答を避けた。
◆運営費の「8割超」を入場券収入でまかなう計画
協会の計画では、人件費や広報宣伝費をはじめとする運営費の8割超を入場券収入でまかなう。国や大阪府・市、経済界が負担する会場建設費と違い、運営費は協会が財源を確保する。
運営費の規模は5年前の時点で809億円だった一方、昨年12月に1160億円に増額。入場券収入の想定は当初の702億円から969億円に引き上げた。
目標の来場者数は約2820万人。大人6000円を基本とする前売り券は1400万枚の販売を目指し、企業向けと一般向けでそれぞれ半々と見立てている。
◆チケットが売れなければ、赤字が現実味を帯びる
ただ発売から1年でも、一般向けが伸び悩む。基本は電子チケット。購入者層の幅を広げようと10月から紙チケットの販売も始めたが、効果は見えない。
それでも前向きなのが先の担当者。「現在購入している人は熱心なファン層。来年1月半ばからパビリオンやイベントの本格予約が始まれば動きが出てくる」
X(旧ツイッター)の万博公式アカウント(スクリーンショット)
入場券の販売が滞れば、赤字が現実味を帯びる。気になるのが補填(ほてん)の方法。どうするつもりか尋ねたが、担当者は「万博の魅力や楽しさを発信し、一層の機運醸成に努めることが重要」と答えるばかりだった。
◆Adoさん効果? Xフォロワーは増えたけど…
協会は今年7月から交流サイト(SNS)での情報発信の強化も始めている。
在阪のシンクタンク「アジア太平洋研究所」によると、X(旧ツイッター)の万博公式アカウントのフォロワー数は7月末時点の約7万8000弱から、11月15日には約8万9000に増えた。表示回数は、8月の平均1.9万に対し9月平均はほぼ倍増。ただ、歌手Ado(アド)さんの開幕記念ライブ出演決定や男性アーティストのビデオメッセージ公開の影響とも。野村亮輔副主任研究員は今後について「ターゲットの層を絞り、Xで拡散したくなるコンテンツをタイムリーに出すことが必要」と話す。
一般向けの販売が低調だと、企業向けの割り当てがさらに増えないか、とも思えてくる。
関西経済連合会の場合、主要加盟企業1社当たり15万〜20万枚の前売り券購入を既に割り当てている。20万枚を購入したJR西日本の労働組合に取材すると、担当者は「現状は福利厚生の一環と思っている。(さらなる買い増しは)聞いていないが、そうなれば労使で話す必要がある」と話す。
◆工事現場でガス爆発
前売り券の販売状況から浮かび上がるのは万博への冷ややかな空気感だ。
吉村洋文大阪府知事(資料写真)
不信感を増幅させるのが膨らむ費用。資材価格や人件費の高騰で会場建設費は当初の1250億円から2350億円になる見込み。海外パビリオンの工事は遅れ、一部は未完成のまま開幕を迎える可能性もある。
安全が確保できるのかという問題もかねて指摘されてきた。今年3月には工事現場で、地中から発生したガスに引火して爆発する事案が発生している。
不興を買うのは他の面でも。建設業界がそうだ。
今年4月からは残業規制が強化され、人手不足が深刻化する「2024年問題」が本格化。万博の工事の影響により、自治体の工事で入札に応じる企業がない事態も起きている。
◆地方の一部公共工事に「応札企業がゼロ」
一例が静岡県だ。今年10〜11月に、県立中央図書館の建築工事の入札を受け付けたが、応札企業はゼロ。2028年夏の開館予定が遅れる懸念が出ている。
県新図書館整備課の金嶋克年課長は「ゼネコンにヒアリング調査をしたところ、技術者の配置が難しいとの声が多かった。地方の公共工事が、万博工事など大規模工事の影響を受けている」と漏らす。
盛り上がりを欠く万博と歩調を合わせるように、旗振り役の「日本維新の会」も失速している。
◆「既得権益を批判していた維新が、既得権益と化した」
11月、日本維新の会の代表選で街頭演説を行った吉村洋文大阪府知事(右)ら
10月の衆院選での獲得議席は、改選前から5議席少ない38議席。比例代表の得票数は、前回2021年から300万票近く減らした。今月1日にあった代表選では、大阪府の吉村洋文知事が新代表に選出されたが、投票したのは投票権がある党員の約4割にとどまった。
ノンフィクションライターの西岡研介氏は「かつて既得権益を批判して支持を得ていた維新が、今は大阪の既得権益と見なされている」と指摘する。
「改革という言葉に魅了されてきた有権者にとって、維新の『賞味期限』が切れたということだ」
日本維新の会の代表選に先駆けて11月、吉村氏は地域政党「大阪維新の会」の代表に就いた。こちらの代表選で公約として掲げたのが「大阪都構想」だった。
◆都構想は過去2回の住民投票で否決された
2015年と2020年の過去2回の住民投票では否決され、吉村氏は「もう挑戦することはない」と述べていた。だが11月の会見で「大阪の未来を考えるのは当然。民主的プロセスを経ずに住民投票を実施するつもりはない」とし、組織内の案として検討する考えを強調した。
先の西岡氏は「政党としての支持を失い、万博の失敗が現実となる危機感から打ち出したのだろう」と読み解いた一方、「もはや都構想に刷新感がない」と突き放す。
桃山学院大の吉弘憲介教授(地方財政論)も「維新は、もともと組織的な支持基盤がない組織。かつて多くの人を引きつけた政策を再度、持ち出すことで求心力を取り戻したいのではないか」とみる。
◆関係組織が危機感を共有していないかのよう
だが、いま議論すべきは都構想なのか。
吉村氏は今月10日、会場整備費のため、1970年大阪万博の収益を運用する「万博記念基金」のうち、95億円を取り崩すことを求めたことを明らかにした。
「万博の開催ありき」で話が進む現状に危惧を募らせる吉弘氏は、改めて開催意義を議論する必要があると説き、こう強調する。
2015年、大阪都構想の意義を街頭演説で訴える橋下徹氏(左)と松井一郎氏
「費用上振れや運営について関係組織が危機感を共有していないように感じられる。万博自体は黒字を出すようなイベントではなく、建物のように目に見える遺産を残すわけではない。仮に赤字でも、中長期的にメリットがあるならば理解されるかもしれないが、それは何なのか。具体的に説明する責任がある」
◆デスクメモ
万博で目立つのは不便さも。例えば大型荷物の扱い。預かるのは入り口付近で200個のみ、1万円かかるという。スーツケース持ち込み抑止の名目だが、事情を知らぬ人が持ってきて「もう上限」「お金がない」ならどうするのか。次々に湧く疑問が冷めた空気を増幅させるように思う。(榊)
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