【#シリアに平和を】ロシアが親子2代にわたって支えてきたシリアのアサド独裁政権が崩壊。ウクライナ侵略戦争でプーチン政権にシリア支援の余裕がなくなったことが原因だ。ロシアはウクライナから即時撤退せよ。
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半世紀にもわたって親子二代でシリアで独裁政権を維持してきたアサド政権があっさり倒れ、子アサドが国外逃亡したのには驚きました。
反体制派が2024年11月末に進攻を開始し、主要都市を次々と制圧して首都ダマスカスに到達するまでの速さに国内外で驚きの声が上がっているそうですが、私がダマスカス陥落の報を聞いて一番に思ったのは
「ロシアは何をやっていたのか?!」
ということでした。
なぜなら、親子2代のアサド独裁政権を支えてきたのは旧ソ連とロシアで、プーチン政権は特にシリアに基地を保有する権益を重視して反政府組織を武力で押さえつけてきたからです。
アサド政権崩壊について、ロシアのペスコフ大統領報道官は2024年12月9日、アサド大統領のロシアへの亡命は
「国家元首の決断だ」
と述べて、プーチン大統領が許可したことを明らかにしました。
そもそもアサド大統領が亡命したことを最初に発表したのもロシア外務省でしたし、アサド氏の今の所在についてもロシア国営タス通信が在モスクワのシリア大使館の関係者の話として
「モスクワにいる」
と伝えていますから、名実ともにアサド政権はロシアの傀儡だったといえるでしょう。
そして今回のアサド政権の崩壊は、ウクライナ戦争によるロシアの国力の低下が原因であることは衆目の一致するところでしょう。
シリアは旧ソ連以外でロシアが外国で基地を持つ唯一の国でした。
そのため、ロシアは2015年からIS(「イスラムステート」)掃討を口実にシリア内戦に本格的に軍事介入し、反体制派勢力を空爆して劣勢にあったアサド政権軍を優勢に導きました。
その後の10年間もロシア軍は政権軍とともに空爆を行って民間人も多数犠牲にしてきたほか、地上戦に民間軍事会社ワグネルなどを投入してきました。
そして、ロシアは介入の見返りとして旧ソ連時代から租借してきたシリア西部タルトスの軍港に加えて、新たに北西部ヘメイミーム空軍基地の使用権を獲得して、地中海や中東そして北アフリカなどに軍事的影響力を行使する拠点としてきたのです。
しかし、2022年2月にロシアがウクライナ侵略を開始したもののその後思うように戦果を挙げられないため、ロシア軍はシリア駐留軍の戦力や兵器を引き抜いてウクライナに投入した結果、シリアでの反体制派への抑止力が低下したことが、今回のアサド政権崩壊の直接の理由となりました。
アサド政権を打倒したシリアの反体制派は今のところロシアの基地に攻撃をしない構えですが、これまで自分たちを殺し続けてきたロシアとの租借契約の放棄をいつ言い出すかは予断を許しません。
アサド政権崩壊と亡命に喜ぶダマスカス市民。シリアの反体制派の勝利の真の理由は市民に支持されたことだ。
ウクライナ侵略戦争では、ロシア軍はインドやネパールの青年を騙してロシア軍に編入し、ウクライナ侵略に利用してきたこと、最近ではイエメンでも同様のことをし、さらに北朝鮮軍の援軍も得ています。
朝日新聞が
「いまのロシアの最優先課題はウクライナ侵攻での勝利だ。
直近の戦況は優位にあるが、北朝鮮やイランからの兵器供与だけでなく、北朝鮮兵の派遣にまで頼る苦しい状況が続き、シリアに貴重な兵員や兵器を使う余裕はない。
苦境のアサド政権を救う有効な手段を打てず、亡命を受け入れるのが精いっぱいだった。」
と報じているのはその通りでしょう。
産経新聞も
『ウクライナ侵略を背景にロシアが勢力圏を喪失するのは2度目だ。南カフカス地方では昨年9月、アゼルバイジャンが露主導の軍事同盟「集団安全保障条約機構」(CSTO)に加盟する隣国アルメニアとの係争地ナゴルノカラバフで電撃的な軍事作戦に着手し、カラバフを奪還した。
アゼルバイジャンは、ロシアがカラバフに派遣していた停戦監視部隊をウクライナに投入した隙を突いたとされる。ウクライナ侵略でロシアの介入余力が乏しくなったとみて軍事作戦に踏み切った形だ。
この結果、アルメニアは「軍事支援の義務を果たさなかった」としてロシアとCSTOを非難。CSTOへの参加を凍結した一方、欧米諸国との軍事協力にかじを切った。
ロシアが勢力圏とみなす中央アジアの旧ソ連諸国もまた、ウクライナ情勢で中立を維持し、ロシアから一定の距離を置いている。』
と報じています。
ロシアの国力と影響力の低下は明らかです。
アゼルバイジャンによる「対テロ作戦」=ナゴル・カラバフへの戦争が、アルメニア側の「停戦合意」=降伏によって終結。ロシアの侵略=「力による一方的な現状変更」を許せば、世界は戦争だらけになる。
プーチン大統領のおかげで2度アメリカ大統領になれたとさえ言われている親露派のトランプ次期米大統領は12月8日に、アサド政権が事実上崩壊したシリア情勢について、自分のSNSで
「アサドは去った。後ろ盾のロシアも守ろうとしなかった。ウクライナ侵攻でシリアへの関心を失った」
と指摘しましたが、これはプーチン大統領のメンツを保とうという表現であって、実際にはロシアがアサド政権を守る余裕がもうなかったというべきです。
イギリス国営BBCも
【【解説】シリア・アサド政権の崩壊、ロシアの威信へ打撃』という記事の中で、
「ロシアはアサド氏と、中東で最も強固な同盟関係を築いていた。
さらにロシア政府は同氏に多額の投資をしていた。
ロシア当局は、アサド政権の崩壊は決してロシア政府にとって痛手ではないと主張するのに、苦労するはずだ。」
と予測しています。
親露派陰謀論者ドナルド・トランプ氏がロシア軍によるウクライナ侵略について「彼(ゼレンスキー大統領)は戦争を始めさせるべきではなかった。これは負け戦だ」とウクライナに責任をなすりつけた(呆)。
そこで、トランプ氏はロシアについてはウクライナ侵攻で
「60万人死傷者を出し、経済状況も悪い」
「弱体化している」
と真実をも指摘しました。
さらに、トランプ氏はウクライナ侵攻でロシア・ウクライナ双方に多くの死者が出ていることに触れて
「直ちに停戦し交渉を始めるべきだ」
と訴え、プーチン大統領に対し
「今こそ行動を起こすべき時だ」
と呼びかけてもいます。
フランスのノートルダム寺院でトランプ氏はウクライナのゼレンスキー大統領とフランスのマクロン大統領と会談しました。
可能性は低いですが、トランプ氏が大統領就任後にまともなウクライナ戦争停戦案を出してくれることを祈ります。
ここぞとばかりにシリアに空爆をしているイスラエルとアメリカの非道も忘れてはならない。
イスラエル軍によるシリアにあるイラン大使館への空爆は不問に付し、イランによるイスラエル報復攻撃についてだけイラン革命防衛隊を「テロ組織」に認定したうえで経済制裁を検討しているG7のダブスタが異常すぎる
編集後記
親露派議員の鈴木宗男氏の盟友である親露派陰謀論者の佐藤優氏(元外交官)が朝日新聞の「侵攻継続、ロシアの国力低下が露呈 シリア政権崩壊は大きな打撃に」という記事に
「私にはシリア正規軍や秘密警察の支持すら失ったバッシャール・アサド氏にこれ以上付き合う必要はないというロシアのリアリズムを反映したものに見えます。
中東におけるロシアの影響力低下を示す根拠は何でしょうか?
ロシア・ウクライナ戦争が始まってから、ロシアとイランやサウジアラビアとの関係は一層強化されているのではないでしょうか?
国際的な影響力の低下と言いますが、具体的根拠は何ですか?
大きな打撃の可能性とは具体的にどういうことでしょうか?」
と必死でプーチン政権の威信を保とうと、トランプ氏にも劣るコメントをしているのが笑止でした。
全く日本の親露派は質が低いです。朝日もこんな人をまだコメンテーターにしているのがおかしいです。
ロシア軍が侵略しているウクライナ戦争でロシアに肩入れするトランプ米大統領候補を応援するため、全米でフェイクニュースを拡散するプーチン政権。嘘を何とも思わないトランプ・プーチンとその信者は世界のガンだ。
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アサド大統領の亡命は「プーチン大統領の決断」 ロシア・ペスコフ大統領報道官が明らかに
フジテレビ
2024年12月9日 月曜 午後11:26
ロシア当局は、プーチン大統領がシリアのアサド大統領の亡命を許可したと明らかにしました。
ペスコフ大統領報道官は9日、アサド大統領のロシアへの亡命は「国家元首の決断だ」と述べ、プーチン大統領が許可したと明らかにしました。
アサド氏の所在については、国営タス通信が在モスクワのシリア大使館の関係者の話として「モスクワにいる」と伝え、大使館の今後については「新政権からの指示を待っている」と報じています。
アサド氏の亡命をめぐっては、ロシア外務省は8日、アサド氏が大統領を辞職して国外に去ったことを発表し、その後、複数のロシアメディアが大統領府関係者の話としてアサド氏と家族がモスクワに到着し、人道的な配慮から亡命が認められたと報じていました。
ロシアは2015年、シリア内戦に軍事介入して以来、アサド政権の後ろ盾として10年近く軍事力で支えてきました。
しかし2022年のウクライナへの軍事侵攻開始後、シリア駐留軍の戦力や兵器をウクライナに投入したことで反政府勢力への抑止力が低下したとみられます。
アサド政権の崩壊を受け、一部のロシアメディアは「重要な同盟国を失った」、「軍事基地がなければ中東やアフリカでロシアの影響力を維持することはほぼ不可能」などと伝えています。
ロシアは、シリア西部タルトスの海軍基地と北西部ヘメイミーム空軍基地に軍を駐留させ、中東やアフリカへの軍事的影響力を行使する拠点としてきました。
シリアの反政府勢力は「駐留軍の安全を保証する」としていますが、新政権発足後も基地の使用権が継続されるかは不透明で、ロシアメディアは「ロシア軍の継続的な駐留は警戒すべき事態であると同時に、反政府勢力との交渉の切り札でもある」と報じていて、ロシアは今後、シリアで軍事基地が維持されるかが焦点となります。
アサド政権崩壊なぜ?シリアでいったい何が?
2024年12月9日 19時08分 NHK
「独裁者アサドを打倒した」
首都ダマスカスを制圧したシリアの反政府勢力は、アサド大統領の追放を高らかに宣言しました。
「反政府勢力の攻勢は国際社会もシリア政府もこの時期はないだろうと油断していた」
シリア情勢に詳しい東京外国語大学の青山弘之教授は、今回の事態についてこう分析します。
反政府勢力がなぜここまで一気に攻勢を強めることができたのか。今後のシリアはどうなるのか。青山教授に詳しく聞きました。
(国際部記者 勅使河原佳野)
そもそもシリアってどこにある?
トルコやイラク、ヨルダン、レバノン、それにイスラエルと国境を接し、古くから交通や文化の要衝として栄えたシリア。
30年にわたり独裁的な政権運営を続けた父親の死去に伴い、2000年に34歳で大統領になったバシャール・アサド大統領が強権的な統治を続けてきました。
シリア アサド大統領
シリアってどうなっていた?
2011年、民主化運動「アラブの春」が波及する形で、シリアでも民主化を求めるデモが起こり、アサド政権がこれを武力弾圧したことをきっかけに反政府勢力との激しい内戦に発展しました。
2014年には内戦の混乱に乗じて過激派組織IS=イスラミックステートがシリアとイラクにまたがるイスラム国家の樹立を一方的に宣言。
一方、アサド政権は、ロシアから空爆の支援を得て反政府勢力やISの支配地域に激しい攻撃を加えるなど、内戦は泥沼化します。
その後ISは弱体化、2020年にアサド政権の後ろ盾のロシアと反政府勢力を支援するトルコが停戦合意を交わして以降は、大規模な戦闘は起きずこう着状態となっていました。
停戦合意を交わすロシア プーチン大統領とトルコ エルドアン大統領(2020年)
※以下、青山教授の話(インタビューは12月8日に行いました)
なぜこの時期に反政府勢力が攻勢?
東京外国語大学 青山弘之教授
去年10月以降のイスラエルによるガザやレバノンへの攻撃で生じたこの地域の安全保障上の揺らぎみたいなものに乗じて、かなり入念に計画を練り攻撃に踏み切ったという形だと思います。
また、攻撃はレバノンのヒズボラとイスラエルが停戦に踏み切った、まさにその時期で、国際社会全体も、シリア政府側も、この時期に攻撃に踏み切ることはないだろうというふうに油断していた。そういう時期をねらって攻撃に踏み切ったと考えることができます。
今回の戦闘で特徴的なのは、反政府勢力側がかなり高性能の無人機を戦力の1つとして位置づけ、航空戦力の能力を高めるために長期間、準備をしてきたと見られること。
そして、主力の部隊、エリート部隊の戦術などを見ても極めて高度に訓練されているなど、戦闘員や武器の確保など、一朝一夕にできるものではないと思います。
反政府勢力の兵士ら(シリア ホムス 2024年12月8日)
なぜ事態がここまで急展開?
1年間にわたるイスラエルと、いわゆる「抵抗の枢軸」との対立ではイランやヒズボラが大きな被害を被り、「抵抗の枢軸」側が明らかに劣勢に立たされています。
それが、そうした国などと連携しているシリア政府の能力低下にもつながり、押し返すことができない状況に追いやられていたということが1つ。
反政府勢力側は、いくつか主要な軍の拠点を攻撃しましたが、シリア政府軍はほとんどが逃げる、あるいは撤退をするという形になりました。本格的な戦闘に入ることすらできないぐらい士気が低下していて、装備などの面でも不足があったと見られます。
また、シリア政府は、民間人の犠牲者を出さないために軍隊は市街地の外に出て防衛線を張るということを主張していました。
実はシリアでは2020年に戦闘が収束して以降、シリア軍が街の中に検問所を設けたり、兵士を駐留させたりして陣地を築くということはなくなっていました。
そうした状況が一般的になっていたために、反政府勢力がそれぞれの都市の中に入ってきても市街地に陣地をつくることができず、まちの外には展開するが何もできず、主要都市の陥落を招いてしまったということが言えるかと思います。
国営テレビで「ダマスカスは解放された」と宣言する反政府勢力のメンバー(2024年12月8日)
反政府勢力の圧勝 予想できなかった?
おそらくこの結果を予想していた人はほとんどいなかったと思います。
なぜなら最近、(一部の反政府勢力を支援してきた)トルコのエルドアン大統領が「シリア政府との関係改善を望んでいる」ということをたびたび発言するなど、トルコとシリアの関係がよくなる状況にありました。
そうした中で、反政府勢力は主要な紛争当事国にとって無用の長物になり始めていて、彼らがこうした大胆な行動をとっても周辺の紛争当事国が阻止するであろうという見立てがあったので、今回のような大規模な攻撃は想定もしていなかったです。
ただ、逆に言うと、シリア情勢をめぐる各国の関係が良好になっている、シリア政府とトルコ政府の関係が改善するのではないか、そうした楽観的なムードを反政府勢力、また、それを支援する勢力、武器や兵站を提供する勢力が利用して、今回のような、誰も予想できなかったような、大胆な行動に出たというふうに考えることもできます。
会見するエルドアン大統領(2024年12月6日)
アサド政権支援してきたイラン ロシアは?
イランに関しては民兵と言われている組織がこつ然とではないですが、姿を消していて、さして大きな抵抗を見せないだろうと私自身は考えています。
一方でロシアは、シリアの地中海沿岸地域にロシア軍の海軍と空軍の基地があって、これをロシア政府が手放すとは到底考えられません。カタールでのドーハフォーラムでもラブロフ外相は「徹底的に戦う」ということを主張しています。
現段階で断言することはできませんが、シリア国内にあるロシアの権益、特に地中海側にある海軍と空軍の基地が何らかの形で攻撃を受ける、また、撤退を余儀なくされるようなロシアにとって不当な環境ができてしまった場合には、極めて大規模な形での反抗がある可能性はあります。
アサド大統領がどうこうということとは別に、地中海の東岸に権益を維持したいというロシアがどういう動きをとるのか、注視していく必要があると思ってます。
ロシア プーチン大統領
中東情勢にも影響与える?
中東地域に関して言うと、いわゆる「抵抗の枢軸」が物理的に寸断された形になっています。
「抵抗の枢軸」は、イランからイラク、シリアを経由してレバノンのヒズボラにさまざまな支援を送るという1990年代以降続いてきた仕組みですが、シリアがアサド政権ではなくなることで寸断されてしまいます。
ガザで紛争が始まって以降、イスラエルはヒズボラと対じして、ヒズボラの武器密輸ルートを根絶するという形でシリアへの攻撃を繰り返してきたわけですが、このイスラエルの目的が期せずして、反政府勢力による大攻勢で実現することになりました。
今後、イスラエルの安全保障というのはこれまで以上に高まり、それに対してイランをはじめとする「抵抗の枢軸」側の能力というものは低下する、かなり大きなバランスの変化が見られるかと思います。
国際社会とシリアの関係はどうなる?
ここ数年、シリア政府は周辺諸国との関係を改善し、国際社会における地位を回復しようとしていたのですが、それが完全にご破算になってしまうということだと思います。
今後、シリアで政権を握る勢力がもし「シリア解放機構」※であるならば、国際テロ組織との国交樹立や外交関係というものは相当慎重に行うことになります。例えば、アフガニスタンの場合、中国やパキスタンがタリバン政権と実利的な関係は結んでいますが、いわゆる国交樹立している国というのはいないわけです。
シリアで今回、「シリア解放機構」が政権を握ったことで何らかの形でオフィシャルに外交関係を結ぶような国が出てくるのであれば、それは911以来続いていた国際社会のアルカイダやタリバンに対する制裁のスキームそのものが崩壊するということを意味しているかと思います。
反政府勢力「シリア解放機構」ジャウラニ指導者(2024年12月8日)
※「シリア解放機構」とは
11月27日以降の反政府勢力の攻勢を主導している過激派組織。
2011年のシリア内戦開始後に結成され、アサド政権との間で戦闘を続けてきた国際テロ組織アルカイダ系の過激派組織「ヌスラ戦線」が母体となっている。「ヌスラ戦線」の分裂をへて立ち上げられ、ジャウラニ指導者のもとでシリア北西部イドリブを拠点に活動していた。
中東の衛星テレビ局アルジャジーラは「シリア解放機構には最大3万人の戦闘員がいると推定されている」と伝えている。
今後のシリアはどうなる?
「シリア解放機構」のジャウラニ指導者はCNNのインタビューで「首都機能を完全に確保したら次は制度構築、統治にかかわるプロセスを進めていく」と答えています。
具体的には明らかにはなっていませんが、「シリア解放機構」が国際テロ組織に指定されている都合上、政府をこのまま構築したとしてもアフガニスタンのタリバン政権のように国際社会の承認を得られないわけです。
それはシリアという国をつくる上であまりにもメリットがないので、組織としては消滅をさせてアルカイダが統治を行っているという体裁を取らない形にしようとすることが予想されます。
その段階で今回の戦闘に参加した、シリア南部の武装勢力やアメリカが支援する勢力など、彼らとの何らかの合意に基づくような仕組みを作る。また、反体制派の政治家の多くが国外に逃れているので、彼らについてもかつてイラクでサダム・フセイン政権が崩壊したときのように国内に呼び戻して移行期の統治であるとか、今後のシリアの政治をつかさどる、そうした任務に就かせようとしていることが考えられます。
演説するジャウラニ氏
「アラブの春」を経てこの結末 どう見る?
アラブの春は本来、民主化の運動として始まっていました。
一般の民衆が平和的なデモによって政権を倒し民主化への道を進めるというのが理想的なものですが、実際にはそうではなく2010年代を通じてさまざまな国でテロが発生したりテロリストがばっこしたりするという事態を招いてしまいました。
それを国際社会全体で抑止する形で2020年代を迎えたわけですが、今回、アラブの春の1つの帰結としてアサド政権が機能を失い、それに代わって「シリア解放機構」が政権を握るということであれば、それは国際社会が「国際テロ組織」だと指定していたものがアフガニスタンに続いてシリアでも政権を担うようになってしまう。
本来、民主化を目指していた「アラブの春」が、そうした国際社会にとってテロ組織だと見なされているものの統治を招いてしまったということは、極めて悲劇的なことだと思います。
(12月8日 ニュース7で放送)
「アラブの春」(カイロ 2011年)
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